今月の聖語【平成24年9月】
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『光日房御書』
建治二年(1276)55歳
人間として生を享ければ身分や立場に関わらず心配はいつもつきもので、逃れることはできません。その嘆きは、時により、人によって様々ですし、各々が一番の苦しみと感じます。
この聖語は、日蓮聖人が嘆きの様々な姿を述べられながら、その嘆きの最もなるものは親より先に子が死んでしまう悲しみであると示されたお手紙の一節です。
我が子の姿を見られるならば、たとえ火に入っても、頭を砕いても惜しくないという母親の心情を示され、母親の苦悩から生まれる供養によって子供の成仏は疑いないものであると説かれました。そして成仏した子供に、かえって導かれることになると慈愛あふれる教示をされました。
私たちはそれぞれの嘆きのなかで、御霊を見送り供養しています。それは私たちが生きている証拠でもありますが、亡くなった方々が生きていた証明でもあります。そして私たちは、亡くなった多くの方々に導かれて生きているのです。